SQ-38 改造例(フロービス)
SQ-38Fのジャンクシャーシが手に入り、元通りに復元する場合は不良部品を交換すれば良いのですが
球とトランス類が無く(チョークは付いていますが、焼け切れです)思案しました。
トランスと球(50CA10)を手に入れる場合の費用を考えると・・・、復元はやめて費用を抑えた
改造アンプに決めました。
◎ 電源トランス
元の穴に入るサイズの電源トランスは見当たらず、少しの加工で取付け可能は候補は
タンゴ ST-230 で取付けビス穴を丸やすりで1mm位削ればOK
☆倍電圧用でタップが多く10W-20Wクラスのアンプには最適、6.3Vも4回路有り、
プリアンプ用のヒーター電源もAC36VDC200mAが付いている。
◎ メインアンプ部
電源トランスのタップが多く、色々と球の候補はありますが、今回元が50CA10で3極管
(ビーム管を内部で3結にしたもの)の為50HB26を3結にしました。
OPTは5KのOY15-5(手持ちの方が多いと思われる為 入手)ですが、他のOPTでも使用できるよう
NFBを約6dBと少なく設定。
固定バイアスはやめて、自己バイアスで個々にバイアス抵抗を付け、安全な方式にしました。
(トラブルからOPTを守る為)
◎ メイン部 回路構成
1、出力管 : 50HB26
2、OPT : 5K~6.6K 15W以上
3、CH : 3H230mA以上 (手持ちのC-520は5H240mA Max)
☆ メイン回路図
4、初段目は12AT7の作動回路、今回-100V位以上の電圧が取り出せず、
定電流ダイオードE-152(1.5mA)を
使用、6.3Vヒーター巻き線から両波整流により-8Vを取り出し供給。
5、次段は12AU7で12AT7のプレートから150KΩで6dB(半分)ゲインを下げています。
6、電源部はヒューズを3Aに変更、12AT7は球によりノイズが入る為 ヒーターを直流にしました。
6.3V巻き線の直列接続から両波整流により+6.2V(12AT7用)と-8V(定電流用)
をKBPC610で取り出しています。
7、アース配線は前段部はベタアース、出力部は浮かしケミコンブロックのマイナス端子から
前段部のアースへ (順番を間違えるとハムノイズを拾う)
◎
メインアンプの特性
◎ プリアンプ部 回路構成
1、PHONO回路はそのまま使用。但しカップリングコンデンサーとカソードのバイパスコンデンサーは交換。
2、フラットアンプ部においてスイッチ及びボリュームに接触不良あり、メインボリュームは交換しそれ以外
私はトーンを使わないので全てキャンセルし12AX7と12AU7の2段NFアンプに変更しました。
3、アクセサリー回路変更
①REC.OUTは録音しない為、Functionスイッチ部でシールド線を切り離し
②プリ出力も廃止し直接メインアンプ部へ接続(後側のメインアンプ用ゲイン調整ボリューム配線カット
③メインアンプのスピーカーインピーダンス切り替えスイッチを使用せず OPTの8Ωから出力端子へ
④CD用入力はAUX2に設定しRCAジャックの後で抵抗によるアッテネーター10dB(1/3)を取付け
⑤MONITOR スイッチは6dBのATTに変更しましたが、キャンセルしても可(入力機器やスピーカーにより
ゲインを調整する目的)
☆ プリ回路図
4、配線
元のラグ板をそのまま使用。
ボリュームまでのシールド線は低容量が望ましい(VRが250Kと高い抵抗値の為)
元のシールド線も細いわりに良いが
手持ちのモガミ2511を短く接続
◎ プリアンプの特性
ゲインは約20dB(10倍)で丁度良い(ボリュームの位置が10時~12時の間に収まる)と思いますが
そうでない場合 NFB用の68Kを調整してください (47K~100K)
CD用のATTも抵抗の組み合わせで調整できます(6.8K:3.3K、4.7K:4.7K、3.3K:6.8K)
周波数特性は、VRの位置がー6dB時でCD入力時、ATT-ON時(一番高域が減少する位置)で
-1dB落ちが40KHz以上、1V出力時の歪率0.03%以下
☆ 写真
☆ 50HB-26 も入手困難になり 一般的な6L6GCや6CA7などに変更を希望する方が増えています。
MQ60の改造と重複しますが、簡単に紹介します。
☆ 6L6/6CA7変更回路図
殆ど同じ回路ですが、6CA7の場合 ヒーター電流値が12AT7を整流する巻線容量の2Aを少しですがオーバーする為
6CA7(1.5A)+12AT7(0.6A)=2.1A / 6CA7(1.5A)+12AU7(0.3)=1.8A
各巻線間をジャンパー線でパラっています。
シャーシを箱から出して調整するのは面倒な為、バイアス調整用10KBのVRはMAIM LEVELのVRを外して取付け。
上手く化粧ナットが合いました。各電流値測定のTPは後部のTAPE CONNECTOR端子を使用
(古くなっていた為、MT7用ソケットを代用)
◎
6CA7ULppの特性
◎
6L6ULppの特性
ULpp の場合 OPTのインピーダンスを5Kから6.6K(OY15-6.6推奨)にした方が出力がアップし
歪が下がります。(NFBが2~3dB増えますが問題ありません)
またOY15-5でも2次側インピーダンスに4,6,8,10,16Ωが出ているタイプがあり、
6Ω端子を出力にすれば約6.6Kになります。
OY15-3.6の場合は4Ω端子を出力すれば7.2Kになります。
◎
OPTのインピーダンスによる特性
☆ 注意点
6CA7は1ピンにサプレッサグリッドが出ている為、1ピンと8ピンをジャンパーする事。
またパワートランスの都合上、パワーは控えています。
各電流値は約40mAでTP端子の電圧が12Vになるようバイアス調整。(多少のバラツキは可)
肝心な事を忘れていました。6CA7の場合 球を挿した状態ではケースに入りません。
ケースの上部穴あき板を外し、シャーシをケースに収めてから球を挿します。
この時ケースと穴あき板の止めねじが木ネジの場合は問題ありませんが
私のはビスナットで止めてあった為、M3用ツメ付きナットに交換しました。
☆ 各所写真
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