12BQ6GTA/Bプッシュプルアンプ製作例(フロービス)


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☆ 回路構成 
 前回の17AV5GTと同じタイプですが、初段目に5極管を使いゲインUPしました。 
 (ヒーター電圧の違い6BQ6GTB/6CU6や12AV5GT等へも変更できます。) 
 前段部6FV8A/6BR8Aは6U8Aや6GH8Aと同類でピン配置が異なりアルテック回路において 
 5極管のG1(9ピン)と3極管P(2ピン)が離れている為、発振のリスクは解消されます。
 6AN8Aも良いですが現在高価になっています。 
 12BQ6GTBのスクリーン電圧は110Vに設定 (スクリーン電圧を上げてもバイアスが
 深まるだけでパワーは変わらない) 今回はツェナーを使っています。
 (110Vが無ければ35~39Vタイプを3個使っても可) 
 局部帰還のUL接続が無理な為(Sg電圧が低い為)、OPT2次側からのカソード帰還も良いですが、
 専用巻線か4Ωと16Ωのタップが無ければ 掛けられず、今回汎用のOPTでも代用可能な回路にしました。 
 5極管でダンピングファクターを3以上にするには局部帰還+NFB6dBは必要で、
 局部帰還が無い場合 ループNFBは約12dBは必要です。 
 OPTの特性の良い物は問題なく12dBは掛けられますが、普及品では安定度において安心できない物もあります。 
 今回は多重帰還(MLF)を採用しました。まずマイナーループとしてPG帰還(初段目プレートと出力管のプレート間) 
 ここは安定にNFBが掛りますが、6dB位が丁度良いと思います。 
 メジャーループは通常のスピーカー端子から初段目カソードへのNFBで約7dB掛けています。 
 ここで位相補正は微分と積分をOPT2次側に取り付け、負荷の状態により安定したものにしました。 
 また6FV8Aのヒーターは直流点火でヒーターからの誘導ハムノイズを無くしています。  
 (ハムバランス等も有効ですが、完全に取れない場合もあり、ブリッジダイオードと電解コンデンサーを足しても千円以下です) 

☆ 回路図 
画像データー
☆ 配線図 
1, 電源、アース回路
2, 高圧、整流回路
3, ヒーター回路
4, 電圧増幅回路
5, 出力回路
☆ 完成写真 
 裏面

☆ 調整 
 球を挿す前にスクリーンの電圧チェック。 
 球を挿して各所電圧チェック。  
 12BQ6GTBの選別は、カソードの電圧値が近い物と組み合わせればOKです。  
 OPTが異なる場合、OPT 2次側8Ω端子からのNFB配線は外して各所電圧測定し 
 問題がなければNFBをつなぎ、壊れてもよいスピーカーを接続して電源を入れる。 
 大きなギャー音(発振音)がすれば直ちに電源を切る。 
 OPTの位相が逆の為、OPT 1次側のP1とP2を入れ替える。 
☆ 特性
 入力感度が以前の差動型より高くなっています。NFBはMLF合計約13dB。ダンピングファクターは約4 
 残留ノイズは0.3mVで電源のドリフトにより差動型より悪くなります。 
 水平球は現在でも安価で出回っています。オーディオにはスクリーン電圧が低いのとプレートが上部に付いている為 
 嫌煙されていますが、それを上手使えばコストパフォーマンスの高いアンプに仕上がります。  
Excelデーター

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